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統合失調症はいつから始まる?「神経発達仮説」を知って過去を振り返った

🌱 統合失調症を知る
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家族から見れば、統合失調症は突然始まりました。

「なんとなく、いつもと違う」

と私が最初に感じてから、精神科へ入院するまで、わずか数日。

独り言が増え、

会話がかみ合わなくなり、

現実とは違うことを強く信じるようになり、

最後には自ら警察を呼びました。

だから私は当初、

「統合失調症になったのは、この数日の間なのだ」

という感覚を持っていました。

ところが入院後、統合失調症について調べている中で、

「神経発達仮説」

という考え方を知りました。

それを知って、

「もしかして、昨日今日だけの話ではないの?」

と、子どものこれまでを振り返るようになりました。

きっかけは精神科医・松崎朝樹先生の動画だった

統合失調症について調べている中で、精神科医の松崎朝樹先生が解説している「統合失調症の神経発達障害仮説」という動画を見ました。

難しいテーマですが、私にはとても興味深い内容でした。

📺 参考にした動画
精神科医・松崎朝樹先生
「統合失調症の神経発達障害仮説」

「幻聴や妄想が出た日=病気のすべての始まり」ではない?

動画を見て私が一番引っかかったのは、

統合失調症について、目立った症状が現れた直前だけを見るのではなく、もっと早い神経発達の過程から考える仮説があるということでした。

神経発達仮説は古くから研究されている考え方で、統合失調症の発症には、脳の発達過程に関係する要素がかかわっている可能性が考えられています。

これは「幼少期から統合失調症だった」という意味ではありません。

また、統合失調症を発症した人を集団として振り返ると、発症前から認知機能などに平均的な差がみられるという研究もあります。

だからといって「昔の特徴=前兆」ではない

ここは、とても大事だと思いました。

幼い頃に何かが苦手だった。

運動が少し遅かった。

学校でうまくいかない時期があった。

だから、

「将来、統合失調症になる」

とは言えません。

研究で見つかるのは、多くの場合、集団として比較したときの傾向です。

そこから一人の子どもの将来を判断できるものではありません。

松崎先生も動画の中で、そのような特徴があるからといって統合失調症を心配する話ではない、という趣旨を繰り返し説明されています。

この注意点は、私自身にも必要でした。

入院後、「もっと前から何かあったの?」と思うようになった

病気について知れば知るほど、

私は過去を振り返るようになりました。

「あれは関係していたのかな」

「もっと早く気づけたのかな」

「何年前から始まっていたんだろう」

家族としては、どうしても考えます。

でも、これはかなり危険な振り返り方でもあると思います。

結果を知った後なら、何でも意味があるように見える

今なら、

「あの時のあれも?」

「あの性格も?」

「あの苦手科目も?」

と考えることができます。

でも、病気になる前の本人を見ていた時には、

それらは単なる個性だったり、

得意不得意だったり、

普通の成長過程だったりしました。

結果を知っている今だから、過去の出来事が全部一本の線につながって見えてしまう。

そこは気をつけたいと思っています。

統合失調症では認知機能も研究されている

統合失調症というと、

「幻聴」
「妄想」

がまず思い浮かびます。

私もそうでした。

でも、入院後に調べて初めて、集中力、記憶、注意、計画、問題解決などの認知機能も重要なテーマだと知りました。

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)も、統合失調症では幻覚・妄想などの陽性症状だけでなく、集中力や記憶力、計画・問題解決などの認知機能障害が知られていると説明しています。

「病前の認知機能」という考え方もある

さらにNCNPでは、現在の認知機能だけではなく、病前からの認知機能との変化についても研究されています。

私はこれを知って、

「発症後だけを見ればいいわけではないんだ」

と思いました。

ただし、ここでも、

「昔から何か苦手だった=統合失調症だった」

という話ではありません。

本人が元々持っていた得意不得意と、

病気によって生じた変化を、

分けて考える必要があるのだと思います。

わが家にも「昔から不思議だったこと」はあった

私の子どもには、幼少期の言葉の遅れはありませんでした。

普通に話していました。

一方で、成長するにつれて、

得意な分野と苦手な分野の差がかなり大きい

という特徴はありました。

理数系は非常に得意。

一方で、国語などの言語系にはかなり苦戦する。

親として、

「これだけできる分野があるのに、どうしてこちらはこんなに難しいんだろう」

と不思議に思ったことは何度もあります。

それを今になって病気のせいにはしたくない

神経発達仮説を知ると、

こうした過去も気になります。

でも、

「国語が苦手だったから、あれは統合失調症の兆候だった」

とは私は考えていません。

そんな単純な話ではないからです。

本人の学習上の得意不得意については、別の記事で詳しく振り返ろうと思います。

→ 数学・物理・化学は得意、国語と社会は苦手だった|発症後に振り返る昔からの得意不得意

そして本人から、思いもしなかった話を聞いた

神経発達仮説を知ったこととは別に、

入院後、本人と話していて驚いたことがあります。

私は本人に、

「いつ頃から、頭の中がにぎやかだったの?」

と聞いてみました。

すると本人は、私が思っていたよりずっと昔のことを話しました。

幼稚園くらいの頃から、

本人にしか分からない「声」のような体験があったらしいのです。

これは、私にはまったく見えていませんでした。

「今回の病気で、いろいろ腑に落ちた」

本人は、

昔から自分の中で説明のつかないこと、謎だったことがいろいろあったけれど、

今回、病気になったことで全部腑に落ちた

というような話もしました。

私はそれを聞いて、とても驚きました。

家族から見た「異変」は入院の数日前から。

でも本人の内側には、

私たち家族には見えていなかった体験が、もっと前からあったのかもしれない。

そう思うようになりました。

この話は、それだけで一つの記事になるので、別に詳しく書こうと思います。

→ 「ならない前には戻らないし」本人の言葉で、統合失調症への向き合い方が変わった

幼少期から幻聴があった=幼少期から統合失調症、ではない

ここも誤解がないように書いておきます。

本人が幼い頃から「声」のような体験があったと話したからといって、

「幼稚園の頃から統合失調症だった」

と私が判断しているわけではありません。

統合失調症では幻聴が代表的な症状の一つですが、診断は幻聴の有無だけで決まるものではありません。

NCNPも、幻覚・妄想のほか、陰性症状や認知機能などを含む疾患として説明しています。

本人が子どもの頃に経験していたものが何だったのかは、私には分かりません。

今だからこそ聞けた本人の記憶として、受け止めています。

私が気づいた「発症」と、本人が経験していた時間は違ったのかもしれない

私が最初に異変を感じたのは、精神科へ入院する数日前でした。

そこから急激に状態が変わり、

「突然、統合失調症になった」

ように見えました。

でも、神経発達仮説を知り、

さらに本人自身の話を聞いて、

今は少し違う見方もしています。

家族に見えるのは、本人の人生の一部分だけ

同じ家に住み、

ずっと一緒に育ってきても、

本人の頭の中までは見えません。

普通に学校へ行っている。

勉強している。

笑っている。

会話もできる。

それでも本人の中には、

家族には伝えていない体験があったのかもしれません。

今回の病気をきっかけに、

初めて本人自身が、

「昔のあれは何だったんだろう」

と振り返ることができるようになった部分もあるのだと思います。


赤ちゃんのころの高熱や熱性けいれんについても、今の病気を知った後では「関係があったのだろうか」と考えたことがあります。

ただ、過去の出来事を後から統合失調症の原因に結びつけることはできません。夏に体調を崩してきた記録についてはこちらにまとめました。
▶統合失調症は夏に悪化しやすい?わが子の体調不良が暑い時期に重なっていた

神経発達仮説を知っても、「原因探し」はしない

神経発達仮説を知ると、

親としてはつい、

「妊娠中に何かあった?」
「育て方?」
「学校生活?」
「遺伝?」

と原因を探したくなります。

でも、現在も統合失調症の原因が一つに特定されているわけではありません。

NCNPも、統合失調症の原因は現在もはっきり解明されていないとしています。

だから私は、

「あの時こうしていれば防げた」

という答え探しはしないようにしたいと思っています。

私が知りたいのは、

誰が悪かったのかではありません。

本人の中で何が起きていたのか。
これからどう回復していけるのか。

その二つです。

今振り返って思うこと

統合失調症を知る前の私は、

「病気になる前」と「病気になった後」が、

一本の線でくっきり分かれているように考えていました。

でも今は、

そんなに単純ではないのかもしれないと思っています。

家族が気づいたのは、入院の数日前。

本人が語る体験は、もっとずっと前。

そして研究の世界では、統合失調症を神経発達の観点から理解しようとする考え方が長く研究されています。

ただし、

「昔のあれが前兆だった」

と、一つ一つ答え合わせをすることはできません。

それでも、

今回の病気によって、

本人自身が長い間「謎」だと思っていたものに、

少し説明がついた。

それは、私にとって非常に印象に残ったことでした。

次の記事では、

本人に直接聞いて初めて知った、

「幼い頃から頭の中がにぎやかだった」

という話を、もう少し詳しく書こうと思います。

→ 「ならない前には戻らないし」本人の言葉で、統合失調症への向き合い方が変わった

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