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統合失調症は兄弟・子ども・孫・いとこにも遺伝する?血縁別の発症リスクを調べた

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統合失調症について調べていると、

「統合失調症 遺伝 兄弟」

「統合失調症 遺伝 孫」

「統合失調症 遺伝 いとこ」

「統合失調症 遺伝 結婚」

といった検索があります。

私も家族歴が気になって、最初に遺伝についてかなり調べました。

そこでまず分かったのは、

統合失調症には遺伝的な要因が関係している。

でも、

親から子へ病気そのものがそのまま受け継がれる、という単純な遺伝ではない。

ということでした。

では、

兄弟なら?

子どもなら?

孫なら?

いとこなら?

血縁関係によって発症リスクは違うのでしょうか。

今回はそこだけに絞って、研究で分かっていることを整理します。

※この記事に出てくる数字は、集団を調べた研究から得られたおおよそのリスクです。

「あなたや家族が○%で発症する」と個人の未来を予測する数字ではありません。

統合失調症は「遺伝する病気」なの?

まず、この言葉がいちばんややこしいところだと思います。

統合失調症には、遺伝的な要因がかなり関係しています。

双生児研究などから推定される「遺伝率」は、およそ60~80%程度とする研究があります。近年のレビューでも、統合失調症の発症しやすさには多数の遺伝的変異が関係することが確認されています。(参考サイト:Nature)

でも、

「遺伝率80%=親から子へ80%の確率で遺伝する」

ではありません。

遺伝率80%と「子どもの発症確率」は別の数字

遺伝率は、

ある集団の中で見られる「発症しやすさの違い」のうち、どの程度が遺伝的な違いと関連しているかを示す統計的な概念です。

ですから、

親が統合失調症なら、

「子どもも80%の確率で発症する」

という意味ではありません。

この違いについて、「遺伝率80%」の意味、家族歴について私が最初に調べたことはこちらにまとめています。
▶ 統合失調症は遺伝する?家族歴が気になって最初に調べたこと

たくさんの遺伝的要因と、遺伝以外の要因が関係する

現在の研究では、統合失調症には一つの「統合失調症遺伝子」があるわけではありません。

近年の大規模なゲノム研究では、数百の一般的な遺伝的変異や、比較的まれな遺伝的変異が発症リスクに関係することが分かってきています。(参考サイト:Nature)

さらに、遺伝だけですべてが説明できるわけでもありません。

だから、

「遺伝的な影響がある」

と、

「遺伝で運命が決まる」

は、まったく別の話です。

親・兄弟・子どもでは発症リスクはどのくらい?

家族研究では、統合失調症の人と血縁関係が近いほど、発症リスクが高くなる傾向が繰り返し確認されています。

ただし、研究によって数字には幅があります。

昔からよく引用されている家族研究をまとめた資料では、おおよそ、

血縁関係生涯リスクの目安
一般人口約1%
親約5~10%
兄弟姉妹約8~14%
子ども約9~16%
孫約2~8%
いとこ約2~6%

といった推計が紹介されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

ただし、これはかなり古い家族研究をもとにした代表的な目安です。

別の大規模研究では、具体的な絶対リスクではなく、「一般人口に比べて何倍くらい発症しやすいか」という相対リスクで評価され、兄弟、親、子どもなどの一親等で明らかなリスク上昇が確認されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

兄弟姉妹に統合失調症がある場合

「兄弟にも遺伝する?」

という検索はかなり多いようです。

兄弟姉妹は遺伝情報を平均すると約半分共有するため、一般人口より発症リスクが高いことが知られています。

代表的な研究では、兄弟姉妹の生涯リスクはおよそ8~14%程度とされています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

ただし逆に見ると、

兄弟姉妹に統合失調症の人がいても、大多数は発症しません。

ここは数字を見るときに忘れたくないところです。

親が統合失調症の場合、子どもは?

本人が将来結婚したり、子どもを持つことを考えたとき、

「子どもにも遺伝するの?」

という心配も出てくると思います。

古い家族研究では、親の一人が統合失調症の場合、子どもの発症リスクはおよそ1割前後とする推計が多くあります。

研究によって9~16%程度など幅があります。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

つまり一般人口よりリスクは高くなります。

でも、

「親が統合失調症なら、子どももかなりの確率で統合失調症になる」

という数字ではありません。

孫に統合失調症が遺伝する確率は?

サチコを見ていて、私が意外だった検索が、

「統合失調症 遺伝 孫」

でした。

親や兄弟ではなく、

「孫はどうなの?」

と調べる人もいるんですね。

孫では、親や兄弟よりリスクは低くなる

孫は、統合失調症の本人から見ると二親等の血縁になります。

古典的な家族研究では、孫の発症リスクはおよそ数%程度と推定されています。

ある遺伝カウンセリングのレビューでは約4%、別の研究では約3%前後という数字が報告されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

台湾の大規模家族研究でも、統合失調症の孫がいる・祖父母に統合失調症があるといった二親等の関係で、一般人口よりリスクが上昇することが確認されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

「孫なら○%」と決められるわけではない

ここは注意したいところです。

たとえば、

「孫は4%らしい」

という数字を見たとしても、

目の前の孫に4%の発症確率がある、と正確に計算できるわけではありません。

その数字は、過去の特定の集団を調査して得られた平均値です。

家族の中に何人発症者がいるか。

どのような病歴なのか。

対象となった集団。

診断基準。

研究した時代。

こうした違いでも数字は変わります。

なので私は、

「孫にも影響はあり得るけれど、親や兄弟より低くなる傾向がある」

くらいに理解するのが現実的だと思っています。

いとこにも統合失調症は遺伝する?

次に、

「統合失調症 遺伝 いとこ」

です。

いとこまで離れると、本人と共有する遺伝情報はさらに少なくなります。

いとこでも一般人口より少し高いという研究はある

古い家族研究では、第一いとこの統合失調症発症リスクはおよそ2%前後から数%程度と報告されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

一般人口よりやや高いものの、

親や兄弟、子どもなどの一親等と比べると低くなっています。

こうした結果からも、

血縁関係が近いほど発症リスクが高くなる傾向

が見えてきます。

遠い親戚に一人いたからといって、過度に怖がらなくていい

家系図をたどって、

「叔父にいた」

「いとこにいた」

「祖父母の兄弟にいた」

と探し始めると、どこまでも気になってしまうかもしれません。

でも、家族歴は「ある・ない」の二択ではありません。

血縁の近さや、家族内で何人発症しているかなどによっても意味は変わります。

遠い親戚に一人いるという情報だけで、

「自分も統合失調症になる」

と考える必要はありません。

では「結婚したら子どもに遺伝する」から結婚しない方がいい?

私は、この検索が一番重いなと思います。

「統合失調症 遺伝 結婚」

という言葉です。

おそらく、

「統合失調症の人と結婚して大丈夫?」

「本人が結婚したら子どもに遺伝する?」

と心配して検索する人がいるのだと思います。

発症リスクがあることと、結婚できるかどうかは別

統合失調症に遺伝的要因があることは事実です。

でも、そのことから、

「統合失調症の人は子どもを持たない方がいい」

という結論にはなりません。

本人が結婚するか。

子どもを持つか。

それは本人とパートナーが考える人生の選択です。

医療情報として発症リスクについて知ることと、誰かの結婚や出産の可否を決めることは別の話です。

将来具体的に考える時期が来たら、個別に相談できる

もし本人が将来、

「自分に統合失調症があることで、子どもへのリスクがどのくらいあるのか詳しく知りたい」

と思う時期が来たら、主治医に相談したり、必要に応じて遺伝カウンセリングにつないでもらったりする方法があります。

家族歴が単純でない場合、一般的な統計だけで個人の再発リスクを推定するのは難しいことも指摘されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

今から家族が、

「将来は結婚できないかもしれない」

「子どもは持てない」

と決めてしまう必要はないと思っています。

家系に統合失調症の人が見当たらなくても発症する

わが家についていうと、

私の知る範囲では、

家系に統合失調症と診断された人は見当たりませんでした。

だから最初は、

「それなら遺伝じゃないのでは?」

とも思いました。

でも、それも単純ではありませんでした。

家族歴がない人にも統合失調症は起こる

統合失調症は、家族に患者がいる人だけが発症する病気ではありません。

むしろ、家族歴が確認できない状態で発症する人もいます。

現在のゲノム研究では、非常に多くの一般的な遺伝的変異に加え、比較的まれな遺伝的変異などもリスクに関係するとされています。(参考サイト:Nature)

そのため、

「家系に誰もいない=遺伝的要因はゼロ」

とも言えません。

逆に、

「家族にいる=その人も発症する」

でもありません。

ここが、この病気の遺伝を理解するときに難しいところなのだと思います。

「遺伝なのか」を一人の家族から決めることはできない

わが家では、本人の父親に精神疾患の治療歴がありました。

でも、家族が聞いていた診断と、後に医師から確認されたことには違いもありました。

だから私は今、

「父親から遺伝した」

という結論にはしていません。

精神疾患の診断は、亡くなった人について後から家族が推測して決められるものではありません。

家族歴は医師へ伝える。

でも、

そこから家族が原因を決めつけない。

そのくらいがちょうどいいと思っています。

なぜ医師は家族歴を聞くの?

初めて精神科を受診したとき、私は少し不思議に思ったことがありました。

医師からは、

「統合失調症を単純に“遺伝する病気”とは今は言わない」

という趣旨の説明を受けました。

ところが、その一方で、

本人の家族にどんな精神疾患があったのかは、かなり詳しく聞かれました。

私は内心、

「遺伝じゃないと言うのに、家族歴はものすごく聞くんだな」

と思いました。

「遺伝だけで決まらない」と「家族歴が重要」は矛盾しない

後から調べると、この二つは矛盾していませんでした。

統合失調症は単一遺伝子疾患ではありません。

でも、家族研究や遺伝研究から、家族歴が発症リスクと関係することは明確に示されています。(参考サイト:PubMed Central (PMC))

だから医師にとって、

家族の診断。

症状。

発症した年齢。

治療歴。

などは、本人を診る上で参考になる情報です。

「遺伝病ではないから家族歴は関係ない」

ではなかったんですね。

ここは私が最初にかなり勘違いしていたところでした。

血縁別の数字を知って、私はどう思ったか

正直にいうと、

最初は数字を知れば安心できると思っていました。

兄弟は何%。

子どもは何%。

孫は何%。

いとこなら何%。

全部分かれば、不安がなくなるような気がしたんです。

でも調べてみると、

研究によって数字には幅があります。

しかも、その数字から目の前の一人が発症するかどうかは分かりません。

数字は「運命」ではなく、目安だった

それでも、数字を知った意味はありました。

たとえば、

親や兄弟など近い血縁者では、一般人口よりリスクが高い。

孫やいとこなど血縁が遠くなると、一般にそのリスクも下がっていく。

でも、

どの血縁でも「必ず発症する」という数字ではない。

そう整理できました。

私にとっては、

「遺伝するか・しないか」の二択ではない

と分かったことが一番大きかったです。

家族歴は未来を怖がる材料ではなく、必要なときに伝える情報

今の私は、

「この家系だから、次は誰が発症するんだろう」

とは考えていません。

家族歴は、

怖がるための情報ではなく、

必要なときに医師へ伝える情報の一つ。

それくらいに考えています。

統合失調症には遺伝的な要因がある。

でも、遺伝だけで決まる病気ではない。

血縁が近いほどリスクは上がる傾向がある。

でも、その数字から一人の将来を予言することはできない。

私は今、そのくらいの距離で「遺伝」という言葉を見るようになりました。

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