統合失調症について調べていて、ふと気になったことがあります。
わが子が大きく体調を崩した時期が、なぜか夏に重なっている。
今回、本人の様子がおかしくなり、精神科へ入院することになったのも暑い時期でした。
もちろん、
「夏だったから統合失調症を発症した」
とは思っていません。
でも過去を振り返ってみると、乳児期に大きく体調を崩したのも夏。
中学生のとき、暑さで毎晩のように頭痛を訴えていたのも夏。
今回の初発も夏。
そして入院したころと比べると、暑さが少し落ち着いてきた今、病棟の入院患者さんが減ったようにも感じます。
これは全部たまたまなのか。
それとも、統合失調症と暑さには何か関係があるのか。
気になって調べてみました。
すると、
統合失調症そのものを「夏の病気」と呼べるわけではないけれど、高温や熱波と精神症状の悪化・精神科受診や入院との関連を報告した研究はある
ことが分かりました。 (参考サイト:PubMed)
今回の初発は、とても暑い時期だった
わが子が初めて精神科へ入院したのは、暑さの厳しい時期でした。
そのころ私は、季節のことなんてほとんど考えていませんでした。
目の前で本人の様子がどんどん変わっていく。
精神科へ連れて行かなければ。
入院できる病院を探さなければ。
そんなことで頭がいっぱいだったからです。
でも少し落ち着いて過去を振り返るようになって、
「そういえば、この子、大きく体調を崩すのって夏が多くない?」
と思いました。
暑い時期に体調を崩した記憶がいくつもあった
いちばん古い記憶は、まだ赤ちゃんだったころです。
生後1年になる前、突発性発疹と思われる高熱が出ました。
高熱が何日も続き、毎日のように病院へ通いました。
当時かかっていた小児科では解熱剤を積極的に使わない方針だったため、氷などを使いながら看病していました。
ようやく熱が落ち着いたと思った日の夜。
また一気に高熱が出て、
熱性けいれんを起こし、救急搬送されました。
それも夏でした。
中学生のころも、暑い体育館で頭痛が続いた
中学生になると、本人は卓球部に入りました。
卓球は風の影響を受けるので、当時は体育館の窓を開けられないこともありました。
しかも学校のある地域は、わが家の周辺よりずっと暑く、夏はかなり蒸し暑い場所でした。
学校側も高温の日には部活動を休みにするなど対応してくれていましたが、ある夏には本人が軽い熱中症のような状態になりました。
そのころ、
毎晩のように「頭が痛い」と言う。
鼻血もよく出る。
そんな時期がありました。
今思えば、あれも暑さの厳しい時期でした。
赤ちゃんの熱性けいれんと今回の統合失調症は関係ある?
過去を並べてみると、
「もしかして全部つながっているの?」
と思いたくなります。
私も一瞬、そう考えました。
でも、ここは慎重にしなければいけないと思っています。
熱性けいれんの既往と統合失調症の関連を調べた研究はある
デンマークの約56万人を追跡した研究では、熱性けいれんの既往がある人で、後の統合失調症診断リスクがわずかに高かったという結果が報告されています。
ただし研究者自身が、
熱性けいれんそのものの影響なのか。
両方に関係する共通の要因があるのか。
測定されていない別の要因によるものなのか。
理由は分からない
としています。 (参考サイト:PubMed)
だから、
「赤ちゃんのときに高熱や熱性けいれんを起こしたから、成人して統合失調症になった」
とは言えません。
私はそこを一本の線にはつなげないようにしています。
過去を知ったあとから「原因」にしない
病名を知ったあとに子どもの過去を振り返ると、
あれも。
これも。
全部「病気の前触れ」だったように見えることがあります。
でも、
幼いころの高熱。
中学生のころの頭痛。
今回の統合失調症。
それぞれ別の出来事だった可能性も十分あります。
だから今の私にできるのは、
原因を決めることではなく、「この子は暑さで体調を崩しやすいかもしれない」という情報として覚えておくこと
だと思っています。
統合失調症は夏に悪化しやすいの?
調べてみると、これは思ったより研究されていました。
統合失調症では、季節によって入院数が変わるのか、気温が症状悪化に関係するのかを調べた研究があります。
ただし結果は完全には一致していません。
夏に入院が増えたという研究はある
2020年のレビューでは、統合失調症の入院と季節について調べた研究の多くで、夏に入院が増える傾向が報告されていました。
特に、気温が高くなることと統合失調症による入院の増加との関連を示した研究が複数ありました。
一方で、冬にピークを示した研究もあり、
「どこの国でも必ず夏に増える」
というほど単純な結果ではありません。 (参考サイト:PubMed)
オーストリアの11万件を超える統合失調症の入院データを調べた研究では、1月と6月に入院のピークが確認されています。 (参考サイト:PubMed)
高温や熱波との関連も報告されている
2023年に発表された、22か国・84研究をまとめた解析では、高温や熱波などの気象条件と統合失調症の発症・悪化との関連が検討されています。
特に熱波では、統合失調症のリスク上昇との関連が認められました。
ただし、季節のパターンは地域によって異なり、北半球と南半球でも違いがありました。 (参考サイト:PubMed)
つまり、
「8月だから統合失調症になる」
ではありません。
でも、
極端な暑さが、一部の人にとって負担になる可能性はある。
そのくらいには考えてよさそうです。
7月より今の方が、病棟の患者さんが少ないように感じた
これは研究ではなく、私が実際に病院で見ている範囲の話です。
本人が入院したころは、
「こんなに精神科へ入院する人がいるんだ」
と思うくらい、病棟に患者さんがいました。
ところが、少し暑さが落ち着いてきた今。
入院したころと比べると、
明らかに患者さんが減ったように感じます。
これを見て、
「やっぱり夏って関係あるのかな」
と思いました。
一つの病院を見ただけでは何も証明できない
もちろん、これは統計ではありません。
病床の空き方。
退院のタイミング。
救急の受け入れ状況。
病院側の事情。
たまたまその時期に患者さんが重なった。
いくらでも別の理由は考えられます。
だから、
「この病院で7月より9月の方が患者さんが少ない=夏は精神疾患が増える」
とは言えません。
でも研究を読むと「まったく関係ない」とも言い切れなかった
一方、重い精神疾患の入院と季節性を調べた系統的レビューでは、春から夏に入院が増える傾向が示されています。
統合失調症を含む精神疾患の救急受診について、熱波の時期に増加したという報告もあります。 (参考サイト:PubMed)
さらに精神疾患全体を対象にした大規模レビューでは、熱波の期間は通常時と比較して精神疾患による受診・入院が増えるという結果も出ています。 (参考サイト:PubMed)
だから私は、
「たまたまかもしれない。でも、暑さと精神状態の関係は研究上も無視できないんだな」
くらいに受け止めています。
なぜ暑さが精神状態に影響するのだろう
ここも、
「暑いから統合失調症になる」
という単純な話ではありません。
夏には、暑さそのものだけでなく、いろいろな負担が同時に増えます。
夏は睡眠や体調が崩れやすい
暑い夜が続けば、眠りにくくなります。
食欲が落ちることもあります。
汗をたくさんかく。
脱水しやすくなる。
日中の強い光が負担になる人もいます。
昼夜の生活リズムが崩れることもあります。
統合失調症では睡眠の乱れも重要ですから、私としては、
「夏そのもの」より、夏に重なってくるいろいろな負荷
を見る方が大切なのではないかと思っています。
本人には光や頭痛の問題もある
わが子の場合、入院中も、
蛍光灯がつらい。
音がつらい。
頭が痛い。
ということがありました。
医療者からは、片頭痛の可能性についても話が出ています。
夏は日差しも強くなります。
暑い。
まぶしい。
眠りにくい。
体力を消耗する。
本人にとっては、そうしたものが重なって負担になる可能性もあります。
だから私は、
「統合失調症の夏対策」だけではなく、「この子自身が夏に何に弱いのか」
を見ていきたいと思っています。
入院中、本人は頭痛とともに蛍光灯や機械音を強くつらがっていました。
当初は統合失調症による感覚過敏かと思いましたが、その後の経過から片頭痛の可能性についても考えるようになりました。
▶ 統合失調症で光や音がつらくなる?実は片頭痛だったかもしれない、わが子の頭痛
だから、来年の夏は少し記録してみようと思う
今回だけなら偶然かもしれません。
赤ちゃんのころの出来事も、中学生のころの出来事も、今回の初発も、原因はそれぞれ違うのかもしれません。
でも、
何度か夏に大きく体調を崩した
という事実は残ります。
だったら、来年から少し意識して見てみればいい。
私はそう思うようになりました。
気温と一緒に、本人の状態を軽く記録する
難しい記録をするつもりはありません。
たとえば、
暑かったか。
眠れていたか。
頭痛はあったか。
食欲はどうだったか。
水分の取り方はどうだったか。
光や音をつらがっていないか。
気分や精神症状に変化はないか。
それくらいです。
数年たって、
「やっぱり暑い時期は調子を崩しやすいね」
となるかもしれない。
何も関係なかったと分かるかもしれない。
どちらでもいいと思っています。
「夏は危険」と怖がるためではない
私は、
「来年の夏が怖い」
とは思いたくありません。
夏になったら再発する。
そんなふうに決まっているわけではないからです。
むしろ、
本人が暑さに弱い可能性があるなら、
早めにエアコンを使う。
睡眠を崩さない。
頭痛が増えていないか見る。
強い日差しを避ける。
無理な予定を詰めない。
気になる変化が続けば主治医に相談する。
できることがあります。
怖がる材料ではなく、備える材料にする。
それでいいと思っています。
「夏だった」という事実を、私は覚えておこうと思う
赤ちゃんのころ、高熱と熱性けいれんで救急搬送されたのも夏でした。
中学生のころ、暑い体育館で部活をして、毎晩のように頭痛を訴えていたのも夏でした。
そして今回、統合失調症を初発し、入院したのも暑い時期でした。
この三つに医学的なつながりがあるのかは分かりません。
たぶん、誰にも今は分かりません。
でも、
「この子は昔から夏に大きく体調を崩すことがあった」
という家族の記憶は、持っておいていいと思っています。
そして入院したころより今、病棟の患者さんが少なくなったように感じたことも。
それが季節のせいなのか。
ただの偶然なのか。
それも分かりません。
でも調べてみたら、
高温や熱波と統合失調症の入院・症状悪化との関連を示す研究は確かにありました。 (参考サイト:PubMed)
だから私は、
「夏だから発症した」とは考えない。
でも、
「夏は少し気をつけて見ておこう」
と思っています。
原因探しではなく、これから本人ができるだけ安定して暮らすための、小さな手がかりとして。
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