明け方、子どもが自ら警察を呼びました。
その時点で私は、
「今日は何としてでも精神科につなげなければいけない」
と思っていました。
ところが、朝になって精神科へ電話をすると、すぐに診てもらえるわけではありませんでした。
家族からすれば緊急事態でも、精神科には予約が必要です。
そこで初めて私は、
「精神科を今日受診したい時、いったいどうしたらいいの?」
という問題に直面しました。
前回の記事はこちらです。
→ 入院1日目①|明け方、子どもが警察を呼んだ。「もう家族だけでは無理だ」と思った日
朝一番で精神科へ電話した
朝になって、私は近くの精神科専門病院へ電話しました。
この頃にはもう、
「少し様子を見よう」
という気持ちはありませんでした。
何とか今日、専門の医師に診てもらいたい。
それだけでした。
ところが、最短の予約はかなり先だった
電話で事情を話し、診察をお願いしました。
しかし、案内された最短の予約日はかなり先でした。
その時の私には、とてもそこまで待てる状態とは思えませんでした。
明け方には本人が自ら警察を呼んでいます。
現実とは違うことを強く信じ込み、家族との関係についても事実とは異なる話をしていました。
食事もほとんど取れていません。
頭痛もひどく、体調も明らかによくありませんでした。
私は電話口で、
「緊急性があると思うのですが、何とか今日診てもらえませんか」
とお願いしました。
緊急時の相談窓口を教えてもらった
そこで病院から、精神科の緊急受診について相談できる窓口を案内されました。
私はその窓口へ電話をかけ、これまでの経緯を説明しました。
明け方に警察が来たこと。
現実とは違う話をしていること。
本人の様子が明らかにいつもと違うこと。
家族だけでは対応が難しいと感じていること。
話をしていく中で、
「入院が必要となった場合、入院することも考えられますか」
という趣旨の確認もありました。
私は、
「必要なら仕方ないと思っています」
と答えました。
この時にはもう、
家に連れて帰ることより、安全に治療を受けられること
の方が大切だと思っていました。
受け入れ先を探してもらうことになった
相談窓口から、
「受け入れ可能な病院を探すので、少し待ってください」
と言われました。
その間、私は電話が鳴るのを待ちました。
本人は、朝になったら病院へ行くという話を覚えていました。
「全部わからなくなっている」わけではなかった
本人は自分で着替えを済ませていました。
家族が話していることを、静かに聞いている時間もありました。
こうした姿を見ると、
「普通に分かっているじゃない」
と思ってしまいます。
でも一方では、現実とは違う強い思い込みがあります。
私はこの頃、
普通に見える本人と、病気の症状が強く出ている本人が、同じ人の中に同時にいるような感覚
を持っていました。
何ができて、何ができないのか。
どこまで本人の判断に任せていいのか。
当時はまったく分かりませんでした。
遠方の病院が受け入れてくれることになった
しばらくして電話がありました。
受け入れてくれる病院が見つかったとのことでした。
ただ、思っていたよりもかなり遠い場所でした。
「こんなに遠くまで行くのか」
とは思いました。
でも、その時は距離を選んでいる場合ではありません。
診てもらえる病院がある。
それだけで十分でした。
私はその病院へ連れていくことにしました。
病院が決まったのに、本人が動かなくなった
受け入れ先が決まり、
「さあ、病院へ行こう」
となりました。
私はここで、
一番大変だったことの一つ
にぶつかります。
本人が、まったく動こうとしなくなったのです。
なだめても、説明しても動かない
声をかけても動かない。
なだめても動かない。
説明しても動かない。
それまで自分で着替えまで済ませていたのに、いざ病院へ出発しようとすると、まったく動かなくなりました。
しかもこの頃、本人の中では私が「母親ではない」という認識になっていました。
そのため、私が何を言っても聞いてくれません。
病院へ行かなければいけないことは分かっているように見える。
でも、動かない。
この状態がかなり長く続きました。
「頭がものすごく痛い。助けて」
しばらくすると、本人が泣き始めました。
そして、
「ひどいことを言ってごめんね。頭がものすごく痛い。助けて」
というようなことを言いました。
その瞬間は、いつもの本人に戻ったように感じました。
私は、
「やっぱり分かっているんだ」
と思いました。
でも、その後また怒ったり、現実とは違うことを言ったりする。
その繰り返しでした。
何とか本人を動かし、ようやく車に乗せることができました。
病院までの車内でも状態は変化していた
病院までは長い移動になりました。
その間も、本人の状態は一定ではありませんでした。
謝る。
怒る。
普通に話す。
また現実とは違う話をする。
短い時間の中で、いろいろな状態が行き来していました。
普通の会話ができる瞬間もあった
病院へ着いた時にも、印象に残っていることがあります。
私が建物を間違えた時、
「たぶん、あっちじゃない?」
というように、本人が普通に教えてくれたのです。
声も穏やかでした。
その瞬間だけ切り取れば、
精神科へ緊急受診しに来た人にはまったく見えなかった
と思います。
でも問診になると、また症状が強く出た
ところが、病院で問診票を書く段階になると、また様子が変わりました。
自分自身について現実とは違う強い思い込みが出てきて、問診票を書くことが難しくなりました。
私との家族関係についても、事実とは違う認識が続いていました。
普通に会話ができる瞬間と、
症状が強く出る瞬間。
この両方を目の前で何度も見ることになります。
「病院へ連れて行けば終わり」ではなかった
私は朝から、
「とにかく病院へ連れていけば何とかなる」
と思っていました。
でも実際には、
病院を探す。
緊急相談窓口へ電話する。
受け入れ先を探してもらう。
本人を動かす。
遠方の病院まで連れていく。
ここまで来るだけでも、かなりの時間と労力がかかりました。
そして、ようやく病院へ到着しても、まだ終わりではありませんでした。
このあと診察を受け、
私は医師から、
「おそらく統合失調症だと思われます」
と告げられます。
さらに、その日のうちに入院することになりました。
しかも、私が想像していた「入院」とはかなり違う形でした。
今振り返って思うこと
この日を振り返ると、
「緊急事態なのだから病院へ電話すればすぐ診てもらえる」
と私はどこかで思っていました。
でも、実際にはそう簡単ではありませんでした。
一方で、最初に電話した病院から緊急相談の窓口につながり、そこから受け入れ先を探してもらえたことで、結果的にはその日のうちに専門医へつながることができました。
当時は、
「なぜこんなに大変なんだろう」
と思う余裕すらありませんでした。
ただひたすら、
今日中に医療につなげる
ことだけを考えていました。
そして病院に到着した後、私は初めて、
「これは入院になる」
という現実に向き合うことになります。
次の記事では、診察で統合失調症と告げられたこと、医療保護入院、発熱時の検査、そして初めて見た保護室について書きます。


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