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入院6日目|保護室前のロッカーが空っぽだった。大部屋へ移った本人と「薬を続けること」を考え始めた日

📖 ある日からの記録
🔒 本人のプライバシー保護のため、一部の情報をぼかして記載しています。

※この頃からは、当時の細かなメモが残っていない日があります。面会時の様子や家族とのやり取りを、記憶をたどりながら書いています。日にちごとの細部には多少前後がある可能性がありますが、大きな流れや本人の変化は、覚えている範囲でそのまま残します。

入院6日目。

この日も、

洗濯物と、家で作ったお茶を持って病院へ行きました。

毎日病院へ通うことが、すっかり私の日課になっていました。

いつものように病棟へ入り、保護室の方へ向かおうとしました。

そして、いつものロッカーを見ました。

空っぽ。

「あれ?」

一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。

スタッフに聞くと、言われました。

「大部屋に完全に移りましたよ」

ほぼ1週間。

本人は、保護室から4人部屋へ移っていました。

  1. 保護室前のロッカーが、もぬけの殻だった
    1. 「大部屋に完全に移りましたよ」
    2. 嬉しいのに、少し心配でもあった
  2. 大部屋で会った本人は、少し疲れて見えた
    1. 「寝られない?」「頭痛い?」
    2. 「昨日、夜中に誰かが部屋に入ってきた」
  3. 現実に起きたことでも、本人には怖い出来事だった
    1. 「見回りだったんだよ」と話した
    2. 幻覚かどうかだけではなく「怖かった」という事実があった
  4. 眠れていなくても「大丈夫」と答えていた
    1. 何を聞かれても「大丈夫」
    2. 「眠れない」と言ったら薬が増えると思っていたのかもしれない
  5. 本人は、もともと薬をできるだけ飲みたくないタイプだった
    1. 化学が好きだからこそ、薬についても自分で調べていた
    2. 「やめたい」「減らしたい」という気持ちが伝わってきた
  6. 私も「できれば薬は飲ませたくない」と思っていた
    1. 「本当にずっと飲まないといけないの?」
    2. 本人の「減らしたい」という気持ちも理解できた
  7. 私は、統合失調症について片っ端から調べ始めた
    1. そこで何度も出てきたのが「再発」だった
    2. 「薬をやめるのは怖い」と思うようになった
  8. 「薬を飲ませたくない」から「再発を防ぎたい」へ
    1. 副作用も怖い。でも再発も怖い
    2. 「減薬するかどうか」も主治医と一緒に考えればいい
  9. まずは私自身が理解してから、本人と話そうと思った
    1. 私が先に頭を整理しよう
    2. 一番の目的は「再発させないこと」だと思った
  10. 今振り返って思うこと
  11. 関連記事

保護室前のロッカーが、もぬけの殻だった

前日までは、保護室と大部屋を行ったり来たりしていました。

光や音がつらくなると、本人自身が、

「頭痛いから戻ります」

と言って保護室へ戻っていました。

→ 入院5日目|「早く家に帰りたい」大部屋とOTに少しずつ挑戦する姿を見て、泣きそうになった

この日は、その保護室前にあった本人の荷物がなくなっていました。


この日まで、本人はいきなり保護室から4人部屋へ完全移動したわけではありませんでした。光や生活音がつらいと保護室へ戻ることもあり、少しずつ4人部屋で過ごす時間を増やしていました。
▶ 保護室には何日いる?わが子が4人部屋へ移るまでの経過はこちら

「大部屋に完全に移りましたよ」

私は、スタッフの言葉を聞いて、まず驚きました。

昨日までは、

「そろそろ夜も大部屋で寝てみる」

という話だったのに、もう完全に移ったんだ。

保護室に入った初日のことを思うと、たった数日なのに、ずいぶん遠くまで来たような気がしました。


保護室には一律の「○日で出られる」という決まりがあるわけではありません。

わが子の場合の経過と制度上の基準は、こちらの記事にまとめました。
▶ 精神科の保護室に入る基準と、医療保護入院との違いはこちら

嬉しいのに、少し心配でもあった

もちろん、嬉しかったです。

保護室から出られた。

一つ進んだ。

そう思いました。

でも同時に、心配もありました。

本人はまだ、光と音をかなりつらがっていました。

4人部屋なら、当然、他の人の生活音があります。

夜、本当に眠れるのかな。

私は、そこが気になりました。

大部屋で会った本人は、少し疲れて見えた

完全に大部屋へ移ってから、初めての面会でした。

本人を見ると、どことなく疲れているように見えました。

「寝られない?」「頭痛い?」

私は、本人に聞きました。

「寝られない?」

「頭痛い?」

すると本人は、

「周りの音が気になる」

と話しました。

やっぱり、大部屋の生活音は、本人にはかなり刺激になっているようでした。

光や音へのつらさは、まだ続いていました。

「昨日、夜中に誰かが部屋に入ってきた」

そして、本人が言いました。

「昨日、夜中に誰かが部屋に入ってきた」

「怖くて声が出なかった」

「そこから寝られなくなっちゃった」

私は、一瞬また、症状なのかと思いました。

「本当に誰か入ってきたの?」

と思わず聞きました。

少し確認すると、どうやら、夜間の見回りに来た看護師さんだったようです。

現実に起きたことでも、本人には怖い出来事だった

この出来事は、幻覚ではありませんでした。

実際に、看護師さんが見回りに来ていたようです。

でも、本人には、それがものすごく怖かった。

「見回りだったんだよ」と話した

私は、

「たぶん夜の見回りだったんじゃない?」

という話をしました。

本人が、それで完全に納得したのかは分かりません。

夜中。

薄暗い部屋。

知らない人影。

ただでさえ、周囲を警戒している状態です。

本人からすれば、理由が分からないまま誰かが入ってきたように感じたのでしょう。

幻覚かどうかだけではなく「怖かった」という事実があった

私はこの頃、何かあるたびに、

「これは症状?」

「これは現実?」

と考えていました。

でも、この夜の出来事は、実際に人が入ってきていた。

それでも、本人には怖かった。

だから、

現実か幻覚かを確認するだけでは足りないんだな

とも思いました。

本人が、その出来事をどう受け取ったのか。

そこにも目を向けないといけないのだと思いました。

眠れていなくても「大丈夫」と答えていた

私がもう一つ気になったのは、本人がスタッフに、自分のつらさをあまり言わなくなっていたことです。

何を聞かれても「大丈夫」

眠れていない。

音が気になる。

頭も痛い。

それなのに、看護師さんから、

「大丈夫?」

と聞かれると、

本人は、

「大丈夫です」

と答えていたようです。

私は、

「いや、大丈夫じゃないじゃん」

と思いました。

数日前までは、

「頭が痛いから保護室に戻ります」

と言えていたのに。

なぜだろう。

「眠れない」と言ったら薬が増えると思っていたのかもしれない

話を聞いていると、本人は、眠れないと言ったら、睡眠薬などが追加されるのではないかと心配しているように見えました。

だから、薬を増やされたくなくて、

「大丈夫」

と言っているのかもしれない。

私は、そんなふうに感じました。

本当にそう考えていたのかは、本人にしか分かりません。

ただ、

「薬はできるだけ増やしたくない」

という気持ちは、かなり伝わってきました。

本人は、もともと薬をできるだけ飲みたくないタイプだった

これは、入院して急に始まったことではありません。

本人は以前から、薬をなるべく使いたくない、という考えを持っていました。

化学が好きだからこそ、薬についても自分で調べていた

本人は、化学分野が好きでした。

その延長で、食品や薬についても、自分なりにいろいろ調べるところがありました。

何でもすぐ薬を飲むというより、できれば使わずに済ませたい。

本人なりに、そう考えて生活してきました。

だから、精神科へ入院して、毎日抗精神病薬を飲むことになったこと自体、本人にはかなり抵抗があったのだと思います。

「やめたい」「減らしたい」という気持ちが伝わってきた

本人が、はっきり毎回そう言ったわけではありません。

でも、

薬を増やされたくない。

できれば減らしたい。

最終的にはやめたい。

そういう気持ちが、会話の端々から伝わってきました。

私は、その気持ちが分からないわけではありませんでした。

むしろ、当時の私も、かなり近い考えでした。

私も「できれば薬は飲ませたくない」と思っていた

私は子どもが小さい頃から、必要もないのに、何でも薬に頼るような生活はさせたくない、と思っていました。

だから、まさかこの子が、毎日抗精神病薬を飲むことになるなんて、夢にも思っていませんでした。

「本当にずっと飲まないといけないの?」

私自身、疑問だらけでした。

症状がなくなったら、

やめられないの?

いつまで飲むの?

量は減らせないの?

副作用は?

一生飲むの?

本人だけではなく、私自身も、薬に対してかなり抵抗がありました。

本人の「減らしたい」という気持ちも理解できた

だから、本人が薬を減らしたがっている様子を見ても、最初は、

「そうだよね」

という気持ちの方が強かったです。

できれば、飲まない生活に戻したい。

それが一番いいんじゃないか。

この頃までの私は、どこかでそう考えていました。

私は、統合失調症について片っ端から調べ始めた

でも、入院してから、私はとにかく調べました。

本。

専門家の解説。

公的な情報。

論文や記事。

動画。

インターネット上の体験談。

「これは参考になりそう」

と思うものを、とにかく片っ端から見ました。

そこで何度も出てきたのが「再発」だった

調べれば調べるほど、何度も目にする言葉がありました。

再発。

統合失調症は、一度症状が落ち着けば終わり、という単純な病気ではない。

治療を中断した後に、再び症状が強くなることがある。

私は、そこを初めて本気で意識しました。

「薬をやめるのは怖い」と思うようになった

特に私が怖くなったのは、抗精神病薬を中断した場合、再発する人が多い、という情報でした。

当時の私は、いろいろな情報を読んで、

「勝手に薬をやめたら、ほとんど再発するんじゃないか」

くらいの強い恐怖を持ちました。

後から研究を確認すると、

「薬をやめた人は100%再発する」

というわけではありません。

ただし、初回エピソード後に抗精神病薬を中止した群では、継続した群より再発率が高くなることは、

複数の研究で示されています。

だから、

本人や家族だけの判断で急に薬をやめることは避けた方がいい。

少なくとも私は、そう考えるようになりました。

「薬を飲ませたくない」から「再発を防ぎたい」へ

このあたりから、私の考え方は、少しずつ変わっていきました。

副作用も怖い。でも再発も怖い

もちろん、薬の副作用は気になります。

本人が嫌がる気持ちも分かります。

できるなら、必要最低限にできたらいい。

その気持ちは今もあります。

でも、一方で、私は入院前の本人を見ています。

妄想に苦しみ、何もかもを怖がり、警察まで呼び、最後には保護室へ入ることになった。

あの苦しさを、もう一度本人に味わわせたくない。

その気持ちが、だんだん強くなりました。

「減薬するかどうか」も主治医と一緒に考えればいい

薬を飲む。

薬を減らす。

薬を変える。

いつかやめる。

それは、親子だけで決めることではない。

状態を見ながら、本人と主治医が相談して決めていくことなんだ。

私は、少しずつそう考えるようになりました。

実際、初回エピソード後の抗精神病薬中止では再発リスクが高くなる一方、全員が同じ経過をたどるわけではなく、中止や減量の利益・不利益には個人差もあります。

まずは私自身が理解してから、本人と話そうと思った

本人に、

「薬をちゃんと飲みなさい」

といきなり言っても、たぶん納得しない。

私自身が、なぜ必要なのかを理解していないのに、本人を説得するのも違う。

そう思いました。

私が先に頭を整理しよう

まず、

自分が勉強しよう。

なぜ薬を続けるのか。

何を防ぐためなのか。

副作用とどう付き合うのか。

どんな時に薬を調整するのか。

そのあたりを、私自身が理解してから、本人と話そう。

そう決めました。

一番の目的は「再発させないこと」だと思った

この時の私の中で、一つの目標が、はっきりしました。

これ以上、本人を苦しませたくない。

そのために、できることはしたい。

当時の私は、それを、

「とにかく再発を防がなくては」

という言葉で考えていました。

薬だけですべてを防げるわけではありません。

睡眠やストレス、

生活リズム、

周囲の支援など、

いろいろなものが関係します。

でも、服薬も、その大切な一つなんだ。

私は、この頃からそう考えるようになりました。

今振り返って思うこと

入院6日目。

いつものように、洗濯物とお茶を持って、保護室へ向かいました。

でも、ロッカーは空っぽでした。

本人は、4人部屋へ完全に移っていました。

私は嬉しかったです。

でも、大部屋で会った本人は、少し疲れていました。

夜中の見回りも怖かった。

周囲の音が気になる。

眠れない。

頭も痛い。

それなのに、スタッフには、

「大丈夫です」

と答えてしまう。

その背景には、薬を増やされたくないという気持ちもあったのかもしれません。

そして、薬を嫌がる本人を見ながら、私自身も、考え始めました。

できれば薬を飲ませたくない。

そう思って育ててきた。

でも、今回の病気では、それだけでは考えられない。

副作用を避けたい気持ちと、再発を防ぎたい気持ち。

両方を持ちながら、主治医と一緒に考えていくしかない。

この頃から、私の中で、統合失調症の治療に対する考え方が、少しずつ変わっていきました。

そして何より、あの入院前の苦しそうな本人を、もう一度見たくない。

これ以上、本人が苦しまないためにできることはしよう。

そんな気持ちが、私の中ではっきりした頃でした。

→ 統合失調症は再発しやすい?初発後に家族が知っておきたいこと

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